限定承認

限定承認とは、「相続によって得た財産の限度においてのみ被相続人の債務及び遺贈を弁済すべきことを留保して、相続の承認をする」(民法922条)のことをいいます。

限定承認をした場合には、被相続人の財産に属する一切の権利義務を承継するものの、負の相続財産(債務)については、相続財産の範囲内においてのみ弁済する責任を負担することとなります。
なので、限定承認は、相続財産が債務超過であるか否かが明らかでない時に有効な手段です。

限定承認をするには、相続の開始が有ったこと(=被相続人が亡くなったこと)を知った時から3ヶ月以内に家庭裁判所に申述しなければなりません。この期間(熟慮期間)をすぎてしまった場合には、通常の相続をしたものとみなされます。(民法915条1項)

また、相続人が数人いる場合には、全員で限定承認をしなければなりません。(民法923条)また、相続人の中に、相続したマンションを売ってしまうなど、勝手に財産を処分したものがいた場合、通常の相続(単純承認)をしたとみなし、限定承認ができなくなります。

ですから、限定承認を考えている場合には、相続人全員の協力が必要です。